日本企業のホームページやメールアドレスでよく使われている「co.jp」。
弊社で言えば、
aboutnet.co.jp
のようなドメインです。
CO.JPには、原則として「1組織につき1ドメイン」というルールがあります。
では、こんな疑問はないでしょうか。
- 誰が「この会社はすでにCO.JPを持っている」と管理しているの?
- お名前.comとXserverなど、違う会社から申し込めば2個取れる?
- 今のCO.JPを変更したい場合はどうする?
- 1法人1個なら、古いドメインを先に解約しないと新しいドメインを取れない?
- ドメイン変更中は旧ドメインと新ドメインを同時に使える?
- 会社名が変わった場合はどうなる?
- 手放したCO.JPは後から取り直せる?
- 古いドメインを第三者に取得されたらどうなる?
普段ホームページを利用しているだけでは、なかなか知る機会のない仕組みです。
しかし、ホームページのリニューアル、会社名変更、サーバー移転、制作会社変更などでは非常に重要になります。
今回は、CO.JPの「1組織1ドメイン」というルールから、管理・変更・引継ぎ・廃止までをまとめて解説します。
そもそもCO.JPとは?誰でも取得できるドメインではない
ドメインには、
- .com
- .net
- .jp
- .co.jp
など、さまざまな種類があります。
この中でも「co.jp」は、属性型JPドメイン名と呼ばれるものです。
COはCommercialを表しており、日本国内で登記された会社など、登録できる組織が決められています。
そして、CO.JPを含む属性型JPドメインには原則として、
「1組織につき1ドメイン名」
というルールがあります。
例えば、アバウトネット株式会社は、
aboutnet.co.jp
を登録していますので、
aboutnet-recruit.co.jp
という2つ目のCO.JPを同じ会社で取得することは原則できません。
CO.JPの「1法人1個」は誰が管理しているの?
ここで疑問になるのが、
「誰が、この会社はすでにCO.JPを持っていると判断しているの?」
ということです。
例えば、最初のCO.JPをA社というドメイン会社で取得したとします。
それなら、2個目を別のB社から申し込めば取得できそうな気もします。
しかし、そのような仕組みにはなっていません。
JPドメイン名の登録管理を行っているのが、
株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
です。
JPRSがJPドメイン名の登録管理やDNSの運用などを行っています。
つまり、利用するドメイン会社を変えれば1法人で何個でもCO.JPを取得できる、ということではありません。
お名前.comやXserverなどのドメイン会社は何をしているの?
一般の企業がJPRSへ直接ドメインを申し込んでいるケースは多くありません。
通常は、ドメイン登録サービスやレンタルサーバー会社などを通して申し込みます。
JPドメインでは、登録者とJPRSの間に「指定事業者」という仕組みがあります。
イメージとしては、
ドメインを使用する会社
↓
指定事業者
↓
JPRS
という関係です。
指定事業者は、登録者からの依頼を受けて、JPRSに対するドメイン登録や変更などの手続きを行います。
そのため、
指定事業者=登録や変更などの窓口
JPRS=JPドメイン名全体の登録管理を行う組織
と考えると分かりやすいでしょう。
自社のCO.JPをどこで管理しているか分からない場合は?
長年ホームページを運営している会社では、意外とよくあります。
「昔のホームページ制作会社に全部任せていた」
「当時の担当者が退職してしまった」
「サーバー会社は分かるけれど、ドメインをどこで管理しているか分からない」
というケースです。
ドメインはホームページだけではなく、メールにも関係する重要なものです。
ホームページのリニューアルや制作会社変更を行う場合には、
- 現在のドメイン名
- 登録者情報
- 管理指定事業者
- 管理画面のログイン情報
- DNSをどこで管理しているか
- メールをどこで運用しているか
などを確認しておくことが大切です。
1法人1CO.JPなのにドメインを変更するときはどうする?
ここからが非常に重要です。
例えば現在、
old-aboutnet.co.jp
を使っていて、
new-aboutnet.co.jp
へ変更したいとします。
「1法人1CO.JPなら、old-aboutnet.co.jpを解約してからnew-aboutnet.co.jpを取得するの?」
と思うかもしれません。
しかし、先に旧ドメインを廃止してしまうと問題が起こります。
なぜなら、その瞬間から、
- 旧ホームページ
- 旧メールアドレス
- 名刺に掲載したURL
- パンフレットに掲載したURL
- 取引先が登録しているメールアドレス
- Googleなどに残っている旧URL
などが使えなくなる可能性があるからです。
そのため、属性型JPドメインにはドメイン名を変更するための正式な手続きがあります。
CO.JPのドメイン変更では旧・新ドメインを一定期間併用できる
CO.JPなどの属性型JPドメイン名について、ドメイン名変更の手続きが承認された場合、変更前のドメインはすぐに消えるわけではありません。
原則として、変更承認から6か月を経過した月の末日まで旧ドメインの登録が残ります。
例えば、
旧:old-aboutnet.co.jp
新:new-aboutnet.co.jp
という状態を一定期間作ることができます。
「1組織1ドメイン」という原則はありますが、ドメイン変更のために必要な移行期間まで認められないわけではないのです。
なぜCO.JPの変更では約6か月も旧ドメインを残すの?
理由を考えると、この仕組みの必要性がよく分かります。
会社のドメインはホームページだけに使われているわけではありません。
例えば、
- ホームページ
- 社員のメールアドレス
- 名刺
- 会社案内
- パンフレット
- 看板
- 広告
- 取引先のアドレス帳
- 銀行・取引サービスなどの登録情報
- 各種WebサービスのログインID
など、さまざまな場所で使われています。
ドメインを変更した瞬間に旧ドメインが使えなくなったら、これらを一日ですべて変更しなければなりません。
現実的ではありません。
そこで旧ドメインと新ドメインを一定期間併用しながら、少しずつ新しいドメインへ移行していくわけです。
ホームページは旧ドメインから新ドメインへ転送できる
例えば、
から、
へ変更した場合。
旧ドメインへのアクセスを新しいホームページへ適切に転送することで、古い名刺や検索結果などからアクセスした人を新しいサイトへ案内できます。
ホームページのドメイン変更では、単純に新しいサイトを公開するだけではなく、旧URLから新URLへの移行設計まで考えることが重要です。
メールはもっと慎重にドメインを引き継ぐ必要がある
ドメイン変更で特に注意したいのがメールです。
例えば今まで、
sales@old-aboutnet.co.jp
を10年間使っていたとします。
新しいメールアドレスを、
sales@new-aboutnet.co.jp
へ変更したとしても、すべての取引先がすぐに変更してくれるとは限りません。
数か月後に古いメールアドレスへ送信する取引先がいるかもしれません。
名刺を保管している人もいるでしょう。
過去のメールを見て、そのまま返信する人もいます。
そのため移行期間中は、旧メールアドレス宛てのメールも受信できる状態を維持しながら、新しいメールアドレスを案内していく方法が考えられます。
ドメイン変更は、URLの変更以上にメールの引継ぎを慎重に考える必要があります。
会社名が変わる場合はさらに別の制度がある
ここまで説明した「ドメイン名変更」とは別に、CO.JPには1組織1ドメイン名制限緩和という制度があります。
対象となるのは、一定の条件を満たす、
- 組織名変更
- 合併
- 事業譲渡
などです。
こうしたケースでは、1組織1ドメインという原則の例外として、複数の属性型JPドメインを継続して登録・利用できる場合があります。
つまり、
「CO.JPは1法人1個だから、会社名が変わったら古いドメインを必ず捨てなければならない」
というわけではありません。
社名変更なら新しいCO.JPを6か月前から仮登録できる場合がある
さらに、会社名を変更する予定がある場合には仮登録という制度があります。
CO.JPでは、組織名変更予定の段階で、変更予定日の6か月前から新しい属性型JPドメインを仮登録できる制度があります。
例えば半年後に、
株式会社ABC
から、
株式会社XYZ
へ社名変更する予定だとします。
条件を満たして手続きを行えば、社名変更前から新会社名に合わせたCO.JPを準備できる場合があります。
これなら、
- 新ホームページの制作
- メール環境の準備
- 名刺の制作
- 会社案内の制作
- 各種サービスの変更準備
などを社名変更日より前から進めることができます。
会社名変更の当日に、ドメイン取得からホームページ・メール設定まですべて行う必要はありません。
「約6か月併用」と「1組織1ドメイン制限緩和」は同じ制度ではない
ここは非常に間違えやすいところなので整理しておきます。
| 制度 | 主な目的 | 旧ドメイン |
|---|---|---|
| ドメイン名変更 | 現在のドメイン名を別のドメイン名へ変更する | 原則として変更承認から6か月を経過した月末まで残る |
| 1組織1ドメイン名制限緩和 | 社名変更・合併・事業譲渡などへの対応 | 条件を満たせば複数ドメインを継続登録・利用できる |
| 仮登録 | 会社設立前・社名変更前から新ドメインを準備する | CO.JPでは原則6か月の仮登録期間 |
つまり、単純に、
「CO.JPは変更すると半年間だけ2個持てる」
と覚えてしまうと少し不正確です。
なぜ複数のドメインが必要なのかによって、利用する制度が違います。
合併した会社がそれぞれCO.JPを持っていたらどうなる?
例えば、
株式会社A → a.co.jp
株式会社B → b.co.jp
をそれぞれ利用していたとします。
この2社が合併して1社になったら、通常の「1組織1ドメイン」という原則では2つ持てないように見えます。
しかし、制限緩和制度の条件を満たせば、合併前にそれぞれの会社が使用していた属性型JPドメインを継続して登録・利用できます。
これは非常に重要です。
長年使用してきたドメインを合併した瞬間に捨ててしまえば、旧会社のお客様や取引先がアクセスできなくなったり、メールが届かなくなったりする可能性があるからです。
事業譲渡でもCO.JPを引き継げる場合がある
事業譲渡についても制限緩和制度があります。
一定の条件を満たせば、事業譲渡元が利用していた属性型JPドメインを、事業譲渡先へ移転できる場合があります。
つまり、CO.JPは単なる「ホームページのURL」ではなく、事業そのものに紐づいた重要な資産として引き継がれることがあるわけです。
では、今のCO.JPを普通に手放したら新しいCO.JPを取得できる?
現在のCO.JPを正式に廃止して、その登録が終了すれば、1組織1ドメインという制限上は、新しいCO.JPを登録できる状態になります。
しかし、
「古いCO.JPを先に解約して、それから新しいCO.JPを取ればいい」
と安易に考えるのはおすすめできません。
これまで説明した通り、ドメインには変更や引継ぎのための制度があります。
まず、現在の状況でどの手続きが適切なのかを確認するべきです。
特にホームページやメールで現役利用しているドメインなら、先に廃止してしまうと大きなトラブルにつながる可能性があります。
手放したCO.JPを後から取り直せる?
「一度解約して、必要になったらまた取得すればいい」
という考え方も危険です。
ドメインは、一度廃止して一定の期間を経過すると、将来的に第三者が登録できる状態になる可能性があります。
そのため、
一度手放したドメインを、将来自社が必ず取り直せる保証はありません。
会社名と同じ分かりやすいドメインであれば、別の会社が欲しがる可能性もあります。
ドメインは「使わなくなったから、とりあえず解約」という扱いをしない方が安全です。
廃止したCO.JPはすぐ第三者に取られるわけではない
ここも補足しておきます。
属性型JPドメインでは、登録原簿から抹消されたドメインについて、原則として一定期間は第三者が登録できない登録制限があります。
つまり、廃止した翌日に誰かに取得される、という単純な仕組みではありません。
しかし、これは「永遠に自社のために確保される」という意味ではありません。
所定の期間が終了すれば、第三者に登録される可能性があります。
だからこそ、「いつかまた使うかもしれない」というドメインを簡単に手放すのは慎重に考える必要があります。
間違えてCO.JPを廃止してしまったら?
「更新手続きを忘れてしまった」
「社内の担当者が間違えて廃止してしまった」
ということも考えられます。
属性型JPドメインでは、廃止後すぐであれば登録回復申請を行える制度があります。
原則として、廃止日の翌日から20日間は登録回復申請が可能です。
ただし、実際の受付方法や期限、費用などは管理指定事業者によって異なる場合があります。
間違えて廃止したことに気付いた場合は、できるだけ早く管理指定事業者へ相談することが重要です。
古いCO.JPを第三者に取得されると何が怖い?
ここはドメインを手放す前にぜひ考えてほしいところです。
例えば10年間、
old-aboutnet.co.jp
を会社の公式ドメインとして使用していたとします。
インターネット上には、長年使ったドメインの痕跡がさまざまな場所に残ります。
- 他社ホームページからのリンク
- 古いブログ記事
- PDF資料
- 過去のプレスリリース
- 取引先のアドレス帳
- 古い名刺
- パンフレット
- 各種Webサービス
そして、将来そのドメインを第三者が取得した場合、以前の会社とは無関係なホームページが表示される可能性があります。
古いURLを知っている人がアクセスすれば、元の会社のサイトだと思ってしまうかもしれません。
そのためJPRSも、ドメイン名の廃止については第三者による再登録後の悪用などに注意するよう案内しています。
特に怖いのは古いメールアドレス
ホームページ以上に慎重に考えたいのがメールです。
例えば、以前、
sales@old-aboutnet.co.jp
を使っていたとします。
このメールアドレスが、
- 取引先の連絡先
- 各種Webサービス
- ショッピングサイト
- クラウドサービス
- SNS
- メルマガ
などに登録されたままになっている可能性があります。
ドメインを手放したあとに第三者がそのドメインを取得すると、状況によっては同じ文字列のメールアドレスを作成できてしまう可能性があります。
そのため、古いドメインを廃止する前には、そのドメインを使ったメールアドレスがどこに登録されているかを確認し、変更しておくことが重要です。
「ホームページを使わなくなったからドメインも不要」
とは限らないのです。
CO.JPを変更するときに確認したいチェックリスト
実際にCO.JPを変更する場合には、少なくとも次の項目を確認しておきましょう。
- 現在のCO.JPの登録者は誰か
- 現在の管理指定事業者はどこか
- 新しいCO.JPを取得できる条件を満たしているか
- 通常のドメイン名変更なのか、社名変更・合併などなのか
- 1組織1ドメイン名制限緩和を利用できるか
- 旧ホームページから新ホームページへの転送はどうするか
- 旧メールアドレスをいつまで受信するか
- 取引先へのメールアドレス変更案内
- 名刺・パンフレット・会社案内の変更
- Googleなど各種Webサービスの登録変更
- SNSなどの登録メールアドレス変更
- 銀行・決済・クラウドサービスなどの登録情報変更
- 旧ドメインを本当に廃止して問題ないか
ドメイン変更は、単純な「URL変更」ではありません。
会社のインターネット上の住所と連絡先を変更する作業と考えた方がよいでしょう。
CO.JPについてよくある疑問をまとめると
| 疑問 | 回答 |
|---|---|
| CO.JPは1法人何個まで? | 原則1組織1ドメイン |
| 誰が管理している? | JPドメイン名の登録管理はJPRSが行う |
| 別のドメイン会社なら2個取れる? | 原則できない |
| ドメインの管理会社は変更できる? | できる |
| ドメイン名を変更するときは? | 属性型JPドメインのドメイン名変更手続きを利用できる |
| 変更したら旧CO.JPはすぐ消える? | 原則として変更承認から6か月を経過した月末まで残る |
| その間は旧・新を併用できる? | 移行期間として旧・新ドメインが存在する状態になる |
| 社名変更なら2個持てる? | 条件を満たせば1組織1ドメイン名制限緩和を利用できる |
| 社名変更前に新しいCO.JPを準備できる? | 条件を満たせば6か月前から仮登録できる |
| 合併したら旧ドメインは捨てる? | 制限緩和制度により継続利用できる場合がある |
| 事業譲渡でドメインを引き継げる? | 条件を満たせば移転できる場合がある |
| 手放したCO.JPをまた取得できる? | 将来再取得できる保証はない |
| 間違えて廃止したら? | 原則として廃止日の翌日から20日間は登録回復申請が可能 |
まとめ:CO.JPは「1法人1個」だけ覚えていると逆に危ない
CO.JPについて、
「1法人につき1個しか取得できない」
というルールだけを知っている方は多いと思います。
しかし、実際のドメイン運用はもう少し柔軟に設計されています。
ドメイン名を変更するときには、旧ドメインから新ドメインへ移行するための期間があります。
会社名変更・合併・事業譲渡などでは、条件を満たせば1組織1ドメイン名制限緩和制度を利用できる場合があります。
会社名変更予定なら、新しいCO.JPを事前に仮登録できる制度もあります。
こうした仕組みが用意されているのは、会社のドメインが単なるホームページのURLではないからです。
ホームページ、メール、名刺、パンフレット、広告、取引先のアドレス帳、各種Webサービスなど、会社のさまざまなところで使われています。
だからこそ、
「新しいCO.JPにしたいから、今のCO.JPを先に解約する」
という進め方は避けた方がよいでしょう。
また、使わなくなったドメインについても、第三者による再登録や古いメールアドレスなどの問題を考える必要があります。
ドメインは取得するときよりも、変更するとき・手放すときの方が慎重な判断が必要です。
ホームページのリニューアルや社名変更などでCO.JPを変更する場合には、現在の利用状況を確認し、旧ホームページやメールをどのように新しいドメインへ引き継ぐのかまで計画してから進めることをおすすめします。