「自社の商品をインターネットで販売したいので、ECサイトを作りたい」
このようなご相談をいただくことがあります。
もちろん、ネット上で商品を販売するならECサイトは有力な選択肢です。
しかし、詳しくお話を聞いてみると、こんなケースがあります。
- 販売したい商品は2~3種類しかない
- BtoB向けの商品である
- 購入前に仕様や数量の確認が必要
- 見積もりを出してから受注する商品である
- そもそもオンライン上で即決される商品ではない
こうした場合、私たちは一度考えます。
「本当にカート機能とオンライン決済機能まで必要でしょうか?」
ECサイトを作ること自体が目的ではありません。
本来の目的が「商品を売ること」であれば、カートや決済機能に予算を使うより、LPを作ってWeb広告で商品の存在を知ってもらうことに予算を使った方が効果的なケースもあります。
ECサイトを作るならカート・決済機能にも費用がかかる
一般的なECサイトでは、通常のホームページとは違った仕組みが必要になります。
例えば、
- 商品登録
- ショッピングカート
- オンライン決済
- 注文管理
- 顧客管理
- 送料設定
- 在庫管理
- 注文確認メール
などです。
当然、こうした機能を用意するためには制作費用がかかります。
利用するサービスによっては、月額利用料などのランニングコストが発生することもありますし、オンライン決済を利用すれば決済手数料なども考える必要があります。
商品数が多く、毎月たくさんの注文を自動で処理するのであれば、こうした機能にお金をかける意味は十分にあります。
問題は、その機能を本当に使うのかです。
商品が数点しかないのに本格的なEC機能は必要?
例えば、販売する商品が3種類しかないとします。
しかも月に何百件もの注文が入るわけではなく、まずはネット販売を始めてみたいという段階。
この状態で、本格的なECサイトを構築する必要があるでしょうか。
もちろん、購入者がその場でクレジットカード決済まで完了できる利便性には価値があります。
しかし商品や販売方法によっては、
商品をLPで紹介 → 興味を持った人が問い合わせ → メールで注文内容を確認 → 請求・入金 → 発送
という流れでも十分対応できることがあります。
注文数がまだ少ないのであれば、人が対応しても大きな負担にならないかもしれません。
それなら最初から高機能な仕組みを用意するより、必要最低限の仕組みからスタートするという考え方もあります。
BtoBの商品は「カートに入れて即購入」とは限らない
特に考えてほしいのがBtoBです。
一般消費者向けの商品であれば、
「欲しい」→「カートに入れる」→「クレジットカードで購入」
という流れが自然な商品も多くあります。
しかしBtoBでは、必ずしもそうではありません。
例えば、
- 購入数量によって価格が変わる
- 送料を個別に計算する必要がある
- 法人ごとに取引条件が違う
- 納期確認が必要
- 仕様について事前相談が必要
- 見積書が必要
- 請求書払いを希望される
という商品もあります。
こうなると、せっかくECサイトを作っても、最終的には
「まずお問い合わせください」
となることがあります。
それなら、最初から問い合わせ・見積依頼をゴールにしたホームページやLPを作った方がシンプルです。
ECサイト制作の予算を「商品を知ってもらうこと」に使う考え方
ここで考えてほしいのが予算配分です。
例えばネット販売を始めるための予算が決まっているとします。
その予算の多くを、
- ECサイト制作
- カートシステム
- 決済システム
- 各種EC機能
に使った結果、
完成後に商品を宣伝する予算がほとんど残っていない。
これでは、立派な販売システムは完成しても、その存在を誰にも知られていない状態になってしまいます。
商品を購入できる仕組みを作ることは重要です。
しかし、その前に商品を知ってもらわなければ購入されません。
LP+問い合わせフォーム+Web広告という方法もある
そこで、商品や会社によっては次のような構成も考えられます。
Web広告 → 商品LP → 問い合わせ・見積依頼 → メールや電話で商談・受注
LPでは、
- 商品の特徴
- 写真
- 用途
- 導入メリット
- 他社商品との違い
- 価格の目安
- 導入事例
- よくある質問
などをしっかり説明します。
そして、購入ボタンの代わりに、
- 商品について問い合わせる
- 見積もりを依頼する
- サンプルを依頼する
- 資料を請求する
といった導線を用意します。
そのうえで、EC機能に使う予定だった予算の一部をGoogle広告やSNS広告などに回し、まず商品の存在を知ってもらう。
商品によっては、この方がネット販売のスタートとして合理的な場合があります。
「買える仕組み」より先に「知ってもらう仕組み」が必要なこともある
ネット販売を始めるとき、どうしても
「どうやってネット上で決済してもらうか」
を最初に考えてしまいがちです。
しかし、まだ商品の知名度が低い場合、それ以前の問題があります。
そもそも誰がその商品を知っているのでしょうか?
商品を知らない。
会社も知らない。
商品名で検索する人もほとんどいない。
この状態なら、どれだけ便利なカートと決済システムを作っても使ってもらえません。
つまり、
「どうやって買ってもらうか」の前に、「どうやって知ってもらうか」を考える必要があります。
ECサイトとLP+問い合わせ型を比較してみる
| 条件 | ECサイト | LP+問い合わせ |
|---|---|---|
| 商品数が多い | ◎ | △ |
| 商品が1~数種類 | ○ | ◎ |
| 一般消費者向け商品 | ◎ | ○ |
| BtoB商品 | ○ | ◎ |
| 価格が決まっている | ◎ | ○ |
| 個別見積もりが必要 | △ | ◎ |
| その場ですぐ購入される商品 | ◎ | △ |
| 購入前に相談が必要 | △~○ | ◎ |
| 大量の注文を効率よく処理したい | ◎ | △ |
| まず市場の反応を確認したい | ○ | ◎ |
大切なのは、ECサイトとLPのどちらが優れているかではありません。
自社の商品がどのように購入されるのかに合わせて仕組みを選ぶことです。
もちろんECサイトを作った方がいい商品もある
ここまで読むと「ECサイトはいらない」と言っているように感じるかもしれませんが、そうではありません。
例えば、
- 商品数が多い
- 価格が明確に決まっている
- 一般消費者向けの商品である
- 購入前の商談が必要ない
- 注文数が多い
- 営業時間外でも注文を受けたい
- 注文処理を自動化したい
といった場合には、ECサイトのメリットを十分に活かせます。
注文が増えてくれば、毎回メールで対応するよりも、カート・決済・注文管理をシステム化した方が効率的です。
つまり、必要な会社にはEC機能へお金をかける価値があります。
反対に、ほとんど使わない機能なら、その予算を別のところに使った方がよい場合があるということです。
最初は問い合わせ型、売れてきたらEC化でもいい
ネット販売を始める段階ですべてを完成させる必要もありません。
例えば、
第1段階:LP+問い合わせフォーム+Web広告
でスタートする。
実際に広告を配信して、どのくらい反応があるのかを確認する。
問い合わせや注文が増えてきて、
「毎回メールで対応するのが大変」
となったら、そこでカートやオンライン決済を導入する。
必要になってからEC化するという方法もあります。
最初から将来を見据えて設計しておけば、事業の成長に合わせて販売方法を発展させていくこともできます。
「ECサイトを作りたい」ではなく「この商品を売りたい」と相談してほしい
ホームページ制作会社へ相談するときに、最初から答えを決める必要はありません。
「ECサイトを作りたい」
ではなく、
「この商品をインターネットで売りたい」
と相談してもらった方が、目的に合った方法を考えやすくなります。
商品数、価格、ターゲット、販売方法、注文数、商談の有無などを聞いてみた結果、
「ECサイトを作りましょう」
となることもあれば、
「今はECサイトまで作らず、LPと問い合わせフォームで十分ではないでしょうか。その分、Web広告に予算を使いましょう」
となることもあります。
高機能なものを作ることが、必ずしも一番良い提案ではありません。
使わない機能にお金をかけるより、本当に必要なところに予算を使うことの方が重要です。
まとめ:カートと決済を付ける前に「本当に必要か?」を考えよう
ネットで商品を売りたいからといって、必ずECサイトが必要とは限りません。
特に、
- 商品数が少ない
- BtoB向けの商品
- 購入前に相談が必要
- 個別見積もりが必要
- まず商品を知ってもらう必要がある
という場合は、LP+問い合わせフォーム+Web広告という方法も検討する価値があります。
カートや決済機能には、制作費だけでなく、その後のランニングコストや決済手数料などが発生する場合があります。
もちろん必要なら導入すべきです。
しかし、まだほとんど注文がない段階なら、そこに予算をかけるより、そのお金をWeb広告に回して、まず商品を知ってもらうという考え方もできます。
ネット販売で大切なのは、立派な販売システムを持つことではありません。
限られた予算を「売るために必要なところ」へ使うことです。
「ECサイトを作るかどうか」から考えるのではなく、
「この商品を売るために、今一番お金をかけるべきところはどこなのか?」
そこから考えてみてはいかがでしょうか。